サントリー美術館「天上の舞 飛天の美」展を振り返る(後編)

脳内補完で見える!?来迎図さながらの松川二十五菩薩


前の記事に引き続き、今週閉幕した東京六本木のサントリー美術館「天上の舞 飛天の美」展について、今回は後編として会期最終日前日に行った2回目の鑑賞の感想になります。

前の記事でも書いたように、この展覧会、会期末に向かってどんどん人気が上がっていったようで、最初に行った時と同じ日曜日ではありましたが、比較にならないぐらいの盛況になっていました。この人気に応えるため、当日は特別に開館時間が20時まで延長されました。

以下、前回同様、当日Twitterでつぶやいた感想を引用して再構成(部分的に修正・補足)しながら振り返ります。1回目は「学芸員による見どころトーク」を聴いた上で、展示鑑賞も解説を全て読みながら企画の趣旨に沿って理解しようと努めましたが、2回目は前回気になったところの確認やもう一度じっくり観てみたいものを観るのは当然として、展示品が本来表現しようとしていた浄土のイメージや、実際にお堂でどんな風に飾られたり置かれたりしているのか、その空間も想像(むしろ妄想ですが)しながら、このきらびやかな世界に浸ってみました。

(以下、インデントした斜体文字は当日のツイートからの引用)

2度目の飛天展鑑賞終了〜!前回かなりガッツリ観たし、今日も結構時間あったから余裕かなと思ったら、結局閉館まで3時間みっちり楽しんでしまった。2度目は2度目で違う見方をしたらまた違うことが見えてくるし興味は尽きない。それにしてもこの展覧会はほんと深かった!ワンダフル!!

今回はよりそのものをじっくり観て、想像力を高めて、いろいろイメージすることを重視してみた。やはり浄土はイメージトレーニングという修行の先にあるんだろうしw

そういう観点でいくと、今回は改めて松川二十五菩薩ってすごいと思った。同じ踊ったり楽器演奏したりする菩薩たちでも、平等院の雲中供養菩薩は浮き彫り要素もあって完全な立体化ではないし、完全立体の即成院二十五菩薩は基本みんな座ってる。當麻寺奥の院のように立体で自由に踊ってる人もいる場合もあるけど、松川はサイズ感が全然違って、立って踊ってる菩薩は失った上半身をイメージ補完すると120〜130センチはあるんじゃなかろうか。あのサイズ感で完全な姿で二十五人揃ったところを想像すると、もうすごすぎてクラクラする!しかもあれだけ巧みな造形なわけで…

その姿、光景をイメージすべく、今日はあの松川菩薩たちの向かいの来迎図や光背飛天たちを見てはそのイメージを松川菩薩の欠失部分に当てはめ脳内補完する作業に没頭。ちょっと見えた気がする!

ここで、改めて松川二十五菩薩について図録の解説を読んでみると、「当初は阿弥陀如来を囲むようにして礼拝者に向かって配置されていたことが考えられる」とのことで、まさに絵画の来迎図や浄土図を立体で表そうとしたものといえるようです。

そのように絵画を立体化したものとしては、以前、香川の法然寺で釈迦涅槃図を立体化したすごい群像を観たことがありますが(この時のこともいずれ記事にしたいと思います)、この二十五菩薩も目指すところは同じだったわけで、当初の壮観さが偲ばれます。

また、図録には「注意されるのは、菩薩像の中でも大きさが異なることであり、配置に関連することと思われる」とあり、これはつまり像の大きさを変えることで遠近感を出したということでしょうか?だとすると、その臨場感はよりリアルで劇的だったに違いありません。

自分はまだ岩手県一関市の現地で観たことはありませんが、もし行く機会があればその点もイメージして観てみたいと思います。

県指定有形文化財 二十五菩薩像(平泉ゆかりマップ)

(当日のツイートに戻ります)

他に印象に残ったところを挙げていくと、前回もそうだったけど、やっぱり今回も東博の渡海文殊の光背の迦陵頻伽には見とれた。特に左の笛吹いてる人。やっぱ天使だわぁ。今日はさらにしつこく単眼鏡で顔を覗き込んでみたら、ほんと柔らかいいい顔してた。

【写真】文殊菩薩騎獅像および侍者立像(東博名品ギャラリー) ※この迦陵頻伽は文殊菩薩が右手に持つ剣の横

雲中コーナーでは今日ちょっと驚いたことが。前回、会期3週目ぐらいに行った時には、雲中供養菩薩を本来の角度で観ようとしゃがみこんで見上げる人は自分ぐらいしかいなかったけど、今日は結構やってる人多かった!いつの間に浸透したの?大変よい傾向だし、それをもってしても本展覧会は大成功だったのでは。

これはちょっとビックリしたと同時に嬉しい変化でした。熱心な人がリピートで観に来たりもしたのかもしれませんね。

ちなみに今日惹かれた雲中さんは北6号さん。「幡」?みたいなものを持って、すました顔して横にすぅーっと移動してる人。他の浮かれている…って言ったらすごい失礼だけどwな人たちに対してあのクールさがツボ!そういう人がいてもいいよね。我関せずな後ろ姿もなんともよかったw

雲中供養菩薩 北6号(平等院雲中供養菩薩トランプより)

雲中供養菩薩 北6号(平等院雲中供養菩薩トランプより)

あと雲中さんたちって自分はかなり前からAKB的な大人数アイドルグループ感を感じてたけど、その捉え方ももはや広く浸透しているらしい。というのも展覧会グッズで個別ポストカードを売っていたけど、雲中さんそれぞれに「推し」のファンがついているようで、北7号のカードが完売で買えなかった人が悔しがってたw

雲中供養菩薩 北7号(平等院雲中供養菩薩トランプより)

雲中供養菩薩 北7号(平等院雲中供養菩薩トランプより)

(※なお、雲中供養菩薩のトランプは以前平等院内のミュージアムショップで販売していたもので、今回の展覧会では販売はありませんでした)

ちなみに小耳に挟んだところによると、北7号は一番人気だったようで、ポストカードも最初に売り切れたということです。やはり、手前のケースに単独で展示されていた、いわゆる「センター」ポジションだっただけあって、その人気は「絶対的」だったようです(笑)

それとそれと、雲中さんといえば、彼らが乗っている雲の尾っぽ部分って、ソフトクリームに見えてしょうがないよねー\(//∇//)\

…と、だんだん妄想がおかしな方向に向かっていきましたが(笑)、2回目を観ての感想は以上です。

それにしても、この企画がこんなに受け入れられたことは「浄土ファン」としては本当に嬉しい驚きでした。六本木という、美術館が多く感度の高い人たちが集まる場所で開催されたことも、もしかしたら少しは関係しているのかもしれませんが。

また、昨年2013年は、春の奈良国立博物館「當麻寺~極楽浄土へのあこがれ」展に始まり、秋の龍谷ミュージアム「極楽へのいざない―練り供養をめぐる美術―」展、そしてサントリー美術館「天上の舞 飛天の美」展と、大きな浄土美術展が目白押しの年でした。どれもテーマを掘り下げた内容の濃い見応えのある展示で、個人的に収穫の多い一年でした。

[鑑賞日(2回目):2014年1月12日]

 

平等院鳳凰堂 平成修理完成記念「天上の舞 飛天の美」

【会期】2013年11月23日~2014年1月13日

【会場】サントリー美術館 http://www.suntory.co.jp/sma/

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