宝城坊(日向薬師) 薬師三尊[神奈川]

関東鉈彫の代表作

【御開帳】初詣:1月1日・2日・3日の三が日/初薬師:1月8日/本尊開扉大法会:4月15日(年度最後の開帳)


正月に帰省の折、実家にほど近い神奈川県伊勢原市の宝城坊、通称「日向薬師」に行ってきました。

こちらの御本尊は、東国にみられる鉈彫という仏像の表面に鑿のあとをあえて残す手法で作られた代表作として有名です。また、御本尊だけでなく、日向薬師は神奈川県あるいは関東でも屈指の仏像の宝庫で、広い収蔵庫に平安~鎌倉時代の重要文化財の仏像が20数体も安置されています。

この日は正月三が日ということで秘仏の御本尊が開帳されており、自身ちょうど3年ぶりの拝観となりました。

小田急伊勢原駅からバスに乗り、終点で下車。ほど近くから参道が始まります。

日向薬師 仁王門

日向薬師 仁王門

すぐに仁王門が見えてきます。写真でもわかるように仁王はかなり大きく、像高3.5メートル。江戸末期造像で、明治になってその仏師の子と孫が彩色したそうです。

筋骨たくましく、血管が浮き出て、迫力ある仁王です。

日向薬師 仁王阿形

日向薬師 仁王阿形

日向薬師 仁王吽形

日向薬師 仁王吽形

仁王門や仁王はつい素通りしてしまいがちですが、様々な角度から観たり部分部分に注目して観たりすると、それぞれ個性があり、なかなか面白いものです。

阿形の右手

阿形の右手

吽形を横から見上げる

吽形を横から見上げる

仁王門をくぐると、霊場感あふれる森林に入ります。巨大な杉木立、足元には岩場や木の根、石段。そして石仏たち。異界に踏み込んだ気分です。

日向薬師参道

日向薬師参道

参道の石仏

参道の石仏

参道の先の石段を登るとそこに茅葺き屋根の巨大な本堂が現れる…はずなのですが、実は現在7年にもおよぶ平成の大修理中で、現場を覆うさらに巨大な素屋根が建っています。今本堂は完全に解体され、部材の修復中とのこと。落慶は2年後の平成28年だそうです。

修理中の本堂を覆う素屋根

修理中の本堂を覆う素屋根

3年前に訪れた時に撮影した本来の本堂の姿です。間口が7間もある茅葺きの建築は全国的にも珍しいのではないでしょうか。

日向薬師本堂(2011年1月撮影)

日向薬師本堂(2011年1月撮影)

宝物殿(収蔵庫)拝観の前に境内散歩。工事の影響でだいぶ狭くなっていますが、巨木のうろの中に祀られる虚空蔵菩薩、並び立つ杉の巨木、石仏など、山のお寺ならではの雰囲気があります。

巨木の洞(うろ)に祀られている虚空蔵菩薩

巨木の洞(うろ)に祀られている虚空蔵菩薩

境内に並び立つ杉の巨木

境内に並び立つ杉の巨木

いよいよ、御本尊と仏像群が目白押しの宝物殿へ。本堂修理中のためこちらが仮本堂になっています。入堂前に蝋燭とお線香をお供えし、お薬師さんということで本年の自分と家族の健康を祈願しました。

日向薬師 宝物殿

日向薬師 宝物殿

(以下、伊勢原市の「いせはら文化財サイト」に写真があるものはリンクします)

宝物殿に入ります。正面中央の巨大で豪華な厨子(室町時代作の重要文化財)の中に本尊薬師三尊(平安時代)、その外左右に像高2メートルの四天王(鎌倉時代)、さらに両脇に等身大の十二神将(鎌倉時代)がズラリと立ち並びます。

十二神将は皆小顔。表情やポーズはやや硬いですが、その中にあって安底羅大将のスタイルやポーズはメリハリがあって、いつもここに来るたびに注目してしまいます。

さらに宝物殿の左の壁側に丈六阿弥陀如来坐像、右の壁側には丈六薬師如来坐像と脇侍の像高3メートル近くもある日光・月光菩薩の立像(前立ち薬師三尊)が配置され、壮観な仏像群を形成しています。いずれも鎌倉時代の作、重要文化財です。

その前立ち薬師三尊の向かって右の日光菩薩は、巨像なのにやわらかい表情、繊細な両手指先の動き、優雅で魅力的なスタイルにウットリしてしまいます。今は両脇侍とも塑像のようなグレーに見えますが、一部金箔も残っており、元の姿はさぞ優美だったに違いありません。

さて、堂内の薄暗さに少し目が慣れたところで、改めて御本尊をじっくり拝します。それでも依然厨子の中は暗く、顔などはあまりはっきりは見えませんが、以前東博の一木展(「仏像~一木にこめられた祈り」展)で、明るい照明の下で感じた素朴さや親しみやすさとはまた違った威厳や神秘性を感じます。

また、左の壁際の丈六阿弥陀如来坐像の横には厨子があり、そこにひっそりと千手観音が祀られていることも忘れてはなりません。他の像のように重文ではなく、特に説明書きもなく、姿も実に素朴で拙さもありますが、日向薬師で以前購入した資料によると、穏やかな顔立ち、なだらかな衣文から12世紀、藤原時代に遡る一木造の像だそうです。像高は235センチもあります。江戸時代の境内図には千手堂があり、そこの本尊だったらしいとのこと。だとすると行基作の伝承のある千手観音ということになるそうです。

ところでこの日向薬師には、この近隣に実家が引っ越した高校生の頃から家族とドライブがてら時々来ていましたが、やはりそのすごさや素晴らしさがわかったのは、こうして各地の仏像を観るようになった最近のことです。これほどの仏像群も、巨大な茅葺きのお堂もそうそうあるものではないんだと知りました。御本尊も鉈彫という特殊で地方色豊かな形式だということも、本当に意識したのは、それこそ東博の一木展からだったと思います。

よく言われることですが、やはり故郷のよさは、外に出ないとわからないものなんですね。日向薬師(地元では「宝城坊」よりやはりこの方が馴染み深い呼び方です)は自分にとってその象徴的な存在です。

御本尊の開扉は毎年正月三が日、初薬師の1月8日、春季例大祭の4月15日のみですが、宝物殿自体は常時拝観できますので、その他の壮観な仏像群を観に来るだけでも十分価値があると思います。山の中で一見アクセスは悪そうですが、実はそんなことはなく、バスは1時間に3本ほどあるので意外と行きやすいところです。

また2年後、本堂の修理落慶が楽しみです。

[拝観日:2014年1月3日]

 

日向山 宝城坊 日向薬師

【住所】神奈川県伊勢原市日向1644

【電話】0463-95-1416

【拝観時間】4月~10月 9:00~17:00/11月~3月 10:00~16:00

【拝観料(宝物殿)】300円(一般参拝大人) ※その他は下記公式サイト参照

【アクセス】小田急線伊勢原駅北口より神奈川中央交通バス日向薬師行で約30分、終点「日向薬師」下車。

【公式サイト】http://hinatayakushi.com/

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