称名寺 阿弥陀如来・釈迦如来[奈良]

かつて東西二堂に祀られたダブル如来坐像

【御開帳】5月15日の珠光忌


今年(2014年)の奈良・葛城の當麻寺「練供養会式」(毎年5/14)も無事終わったようですね。練供養を観に奈良を訪れて、翌日(5/15)も奈良を巡りたいなぁという方に、まさにグッドタイミングな年に一度の御開帳があります。

近鉄奈良駅から北西に10分ほど歩いた街の中にある称名寺。実は、『新TV見仏記(1)奈良編』で紹介されたお寺でもあります。

このお寺は、茶道の祖といわれ侘び茶の基礎を確立した室町時代の茶人・村田珠光にゆかりがあり、珠光の命日に当たる5/15に毎年「珠光忌」を催し、その際年に一日だけ本堂が特別公開されます。こちらのお寺は檀家寺として、普段の拝観や見学は受付けないとのことなので、貴重な機会です。

称名寺 山門正面

称名寺 山門正面

称名寺 本堂

称名寺 本堂

現在、称名寺の本堂の須弥壇上には、ほぼ同じ大きさの阿弥陀如来坐像と釈迦如来坐像が並んで祀られています。どちらも平安末期作といわれ、重要文化財です。本来はそれぞれ本尊として祀られる如来がこうして並ぶ構図はなかなか豪華で贅沢な雰囲気があります。

後補の光背と台座のデザインが同じであるため、両坐像は遠目には似ているように感じてしまいますが、実際よく観てみると作風などはかなり違います。

向かって左の阿弥陀如来坐像(お寺では「弥陀如来」と呼んでいるようです)は典型的な定朝様。ふくよかながら気品のある輪郭、安らかな表情、細かい螺髪、浅く緩やかな衣文。数多い定朝様の中でもお手本のような優美な姿です。胸の前で両手を構え、それぞれ親指と中指で輪を作る中品中生の印を結びます。細い指で軽やかに結ぶ中品中生印は上品で魅力的です。

【写真】阿弥陀如来坐像(お寺の公式サイト)

一方、向かって右の釈迦如来坐像は、阿弥陀如来に比べるとより人間的で個性的な顔立ち。少し締まった輪郭に厚めの唇。少し粒の大きい螺髪で肉髻も高めです。胸筋も深めに表され、若干筋肉質で引き締まった体つきになっています。

【写真】釈迦如来坐像(お寺の公式サイト)

ところが実は、この2体は本来の称名寺の本尊ではありません。本来の御本尊は「光烟光佛」と称される平安時代の阿弥陀如来立像で、来迎の雲に乗る小さな像です。現在もしっかり本堂にいらっしゃって、両如来坐像の間に一段高く置かれた厨子の中に安置され、住職交代時のみ開帳される秘仏となっています。ただ、本堂に写真があるので、お姿は知ることができます。来迎印を結び、子どものような風貌と体型をした、かわいらしい仏さまでした。

称名寺は元々鎌倉時代創建の興福寺の別院で、興福寺の北に位置することから興北寺と呼ばれていました。かつては広大な寺域を誇り、本堂のほか、釈迦念仏の道場である東堂、弥陀念仏の道場である西堂などがありましたが、度重なる火災などで寺域が縮小。その東堂の釈迦如来と西堂の弥陀如来が現在の本堂の両如来坐像であり、本来の本尊の光烟光佛とともに三尊が本尊として祀られるようになったということです。

なお、御朱印は書き置きのものですが、「光烟光佛」と書かれたものがいただけます。

また、称名寺にはこの他に以下の3体の重要文化財の仏像が伝わっており、現在いずれも奈良国立博物館に寄託されています(以下、いずれもお寺の公式サイトにリンク)。

【写真】薬師如来立像(鎌倉時代)

【写真】増長天立像(平安時代)

【写真】地蔵菩薩立像(平安時代)

現在の本堂にも、時代は下るようですが、薬師如来坐像、愛染明王坐像、地蔵菩薩立像、天部立像その他の仏像も祀られていました。

ところで、この珠光忌の年に一日の拝観は、拝観料1,000円の中に客殿での抹茶の接待も含まれます。

抹茶の接待

抹茶の接待

抹茶の接待

抹茶の接待

また、獨盧庵(俗称・珠光庵)と呼ばれる侘び寂びの趣きがある離れの茶室も見学させていただけます。

獨盧庵の庭

獨盧庵の庭

そして称名寺で観ておきたいものがもう一つ。「千体地蔵尊」と呼ばれる、約1,900体にもおよぶおびただしい数の石仏です。

千体地蔵尊

千体地蔵尊

千体地蔵尊

千体地蔵尊

戦国武将・松永久秀が多聞城の城壁にするために集めた石仏で、落城後江戸時代に、時の称名寺の住職が散乱した様子を哀れに思い、集め祀ったものといいます。

ひな壇状にきれいに並んでいる様子は、スタジアムでスポーツ観戦している人々のようにも見えなくもありません(笑)

以上、街の中にあるけっして大きなお寺ではありませんが、このように本堂の仏像からも、石仏からも、お接待の抹茶からも、様々な歴史を垣間見ることができます。年に一日しかチャンスはありませんが、もしタイミングが合えば是非!

[拝観日:2013年5月15日]

 

日輪山 称名寺

【住所】奈良市菖蒲池町7

【電話】0742-23-4438

【拝観】5月15日の珠光忌のみ。10:00~15:00(法要13:00~)

【拝観料】1,000円(抹茶接待含む)

【アクセス】近鉄奈良駅より徒歩約10分

【公式サイト】http://www.eonet.ne.jp/~syomyoji/

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