金剛寺 五智如来・薬師如来・二天[大阪]

巨大三尊の留守を守る平安・鎌倉の諸仏

【重要文化財特別公開】4月17日・18日


観心寺の本尊・如意輪観音御開帳と日を合わせて、4月17日・18日には同じ河内長野市の古刹、金剛寺でも重要文化財特別公開が行われます。

この両日には観心寺から金剛寺へ向かう無料シャトルバスも運行します。

無料シャトルバスの案内

無料シャトルバスの案内

約30分で金剛寺に到着。まず、伽藍とは離れた手前のエリアにある宝物殿・庭園・北朝御座所を拝観しました。こちらはこの2日間に限らず、通常公開されています。

庭園

庭園

宝物殿

宝物殿

宝物殿には平安・鎌倉時代を中心とした仏像・仏画などが展示されています。

(以下、この記事中の【写真】はすべて河内長野市のサイト「河内長野市の歴史遺産」へリンク)

【写真】大日如来坐像(多宝塔)

金剛寺では現在(2014年)、「平成大修理」として金堂等の大規模な修理が行われていますが、多宝塔もそれに含まれ、その本尊の大日如来は宝物殿で観ることができました。平安時代末期作の重要文化財で、像高80.4cm。一見、「あぁバランスのよい端正な像だな…」と、特に変わったところのない優品の一つという印象でしたが、よくよく観てみると、平安の様式と鎌倉の様式が合わさった、過渡的な時代を象徴する仏像であることがわかります。顔の輪郭や表情はまだおっとりとした平安・藤原期の雰囲気を残していますが、頭の宝髻は運慶作の大日如来のように高くてふっくらしています。左右に大きく張り出した膝も慶派っぽいですし、そこに描かれるシャープで整った衣文は快慶っぽさも感じます。でも技法的には寄木ではなく一木割矧造なんだそうです。仏像ってつくづく一筋縄ではいかないし、なんとも奥が深いですね。

その他、宝物館には鎌倉時代の千手観音立像や、平安初期的な雰囲気のある童子形の地蔵菩薩立像なども展示されていました。しかし、特に目を奪われたのは実は仏画でした。

【写真】尊勝曼荼羅図

【写真】五秘密曼荼羅図

【写真】虚空蔵菩薩像

この色鮮やかな3点の図像はいずれも鎌倉時代の作で重要文化財。濃厚な密教感を放つ妖しい色彩と緻密な線描の美しさは、観ていると吸い込まれそうになります。

 

次に、金堂を中心とする伽藍エリアへ移動。伽藍の内外では八重桜でしょうか、丸いボンボンのようなかわいい花がほぼ満開になっていました。

伽藍へ向かう道

伽藍へ向かう道

八重桜(?)

八重桜(?)

咲き誇る八重桜(?)

咲き誇る八重桜(?)

伽藍の入口となる楼門。左右に阿形の増長天と吽形の持国天を配する二天門です。

金剛寺 楼門

金剛寺 楼門

金剛寺楼門 増長天

金剛寺楼門 増長天

金剛寺楼門 持国天

金剛寺楼門 持国天

予備知識なく、ふと二天を覗いてみましたが、大きさも作風も完成度もただものではないオーラを感じました。像高は持国天が271.5cm、増長天271.9cm。像内の銘文から鎌倉時代の弘安2(1279)年、大仏師法橋正快の作であることがわかっています。名前に「快」の字があるということは快慶に連なる系統の慶派仏師なのでしょうか。これほどのサイズがありながらまったく大味なところがなく、伸びやかで躍動感ある大きなポーズを取らせることができるのは仏師の技量の高さゆえでしょう。

金剛寺楼門 増長天の顔

金剛寺楼門 増長天の顔

金剛寺楼門 持国天の顔

金剛寺楼門 持国天の顔

角度を変えて顔を観てみます。文句なしのカッコよさ! やはりこの二天も作った仏師も、ただものではないですね。

増長天足もとの邪鬼

増長天足もとの邪鬼

みうらじゅん・いとうせいこうの『見仏記』以降、邪鬼に注目している人は多いと思いますが、この二天に踏まれる邪鬼もなかなか。特に増長天に踏まれている邪鬼は悶絶する姿がいじらしくもかわいらしいんです。「う~ん、も~いや!!」っていう声が聞こえてくるような気がしませんか?(笑)

そして伽藍の中へ。金堂(後述)や多宝塔は現在修理工事中。代わりに、この2日間はその奥の五佛堂と薬師堂が特別公開されました。

五佛堂(右)と薬師堂(左)

五佛堂(右)と薬師堂(左)

まず向かって左の薬師堂から拝観。中には入れず、外の縁側からの拝観です。堂内はほのかに灯りがともされるだけで薄暗く、あまりはっきりは見えませんが、かえって静かで厳かな空気が漂い、心を落ち着けて拝すにはよかったかもしれません。中尊の薬師如来立像、脇侍の日光・月光両菩薩立像、その左右に十二神将が祀られています。

【写真】薬師如来立像

薬師如来立像は像高159.0cm、鎌倉時代・13世紀初期の作で大阪府指定文化財です。正直、現地では細かいところまでは見えませんでしたが、この写真を観ると、多宝塔の大日如来坐像よりわずかに時代が下るわりには、平安の藤原期的な穏やかな雰囲気をよく残した仏像のようですね。金箔がよく残り、薄暗い中にも淡く輝いていたのが印象的でした。

次に、薬師堂と渡り廊下で繋がる隣の五佛堂を拝観。こちらも外からの拝観ですが、お堂の正面が大きく開けられていたので暗くはありませんでした。現場にいらっしゃったボランティアガイドの方の話では、五佛堂は去年まで100年間開扉されていなかったとのこと。中央の黒漆塗りの須弥壇と天井にずらっと連なる吊燈籠、そこに小ぶりながらも当初の煌びやかさを保つ五智如来が安置され、お堂はそれほど大きくありませんが、中はなかなか荘厳な感じがありました。修理中の金堂に代わって、この五佛堂が現在仮本堂になっています。

【写真】五智如来坐像 5躯

五智如来は平安時代作の重要文化財。中央の大日如来が多宝塔の大日如来と各部の表現が似ており、それと同じ頃、鎌倉時代にごく近い平安末期制作とみられているようです。五佛堂自体も、現存の建物は江戸初期の再建ですが、もとは治承4(1180)年建立であることもそれを裏付けます。後補が少なく、台座と非常に精緻な透かし彫りの光背、大日如来の装身具も当初のものらしいです。ちなみに、五佛堂は非公開ですが、この五智如来は宝物殿で公開されることもあったようです。

 

ところで、この金剛寺の本尊といえば、金堂に安置される大日如来坐像(像高313.5cm)、不動明王坐像(同258.0cm)、降三世明王坐像(同201.0cm)からなる伝運慶作の巨大な三尊であることは有名です。

【写真】大日如来坐像・不動明王坐像・降三世明王坐像

しかし、現在行われている金堂の修理の間、この三尊も外部で修理が行われています。そのうち、先に修理が終わった降三世明王は奈良国立博物館のなら仏像館で数年前から展示されているので、そのあまりの迫力を目の当たりにして驚いた人も多いと思います。私も、奈良博ではすでに2、3度観ていますが、特に最初の時は展示されていることを知らなかったので、不意に目に入って本当にびっくりしました。あまりのインパクトに、「私が選ぶ2012年グッときた仏像15選」に選出しました(笑)

圧倒的な法量と威圧感で観る者をにらみ返すこの降三世明王だけでも凄いのに、それが脇侍というのだから、本来の三尊がそろったらどうなるか…想像しただけでもワクワク(そしてクラクラ)します。ちなみに今回の修理で不動明王の内部に墨書が見つかり、制作した仏師が実は快慶の弟子の行快であること、制作年が天福二(1234)年であることがわかったというニュースも記憶に新しいところです。中尊の大日如来は時代が先行し平安後期作とのことですが、降三世も作風から行快およびその工房の作で間違いないそうです。

 【ニュース記事】金剛寺の重文仏像は「行快」作 快慶の一番弟子(47NEWS)

 

半解体修理という元禄時代以来約300年ぶりの大修理中の金堂は、現在素屋根に覆われていますが、この日はその中の修理現場も公開されていました。

素屋根に覆われた金堂修理現場

素屋根に覆われた金堂修理現場

金堂修理現場入口

金堂修理現場入口

中の階段を上ると、金堂の屋根を間近で観ることができます。あの三尊を安置できるだけあって、さすがに大きい! 丸太そのままのような屋根の骨組みの部材にも驚きました。

金堂修理現場 屋根付近

金堂修理現場 屋根付近

金堂修理現場 屋根の骨組み

金堂修理現場 屋根の骨組み

寺社建築の命は屋根の反りだと聞いたことがありますが、それもこんなに近くで観ることができました。

金堂修理現場 屋根の反り

金堂修理現場 屋根の反り

階段を降りながら屋根の下も覗き込みます。私は花だけでなく建築にも疎いのですが、木鼻という部分でしょうか、軒下にイノシシの顔が彫刻されていました。まわりの部材にはうっすらと彩色が残っており、当初は華やかな建築であったことがうかがえます。

金堂修理現場 イノシシの彫刻の木鼻

金堂修理現場 イノシシの彫刻の木鼻

柱が地面に接する部分や、一つ一つの部材に番号が付けられ管理されている様子を観ることができたのも貴重でした。

金堂修理現場 地面付近

金堂修理現場 地面付近

金堂修理現場 番号が付され管理される部材

金堂修理現場 番号が付され管理される部材

 

平成の大修理は平成21(2009)年に始まり、平成29(2017)年9月まで続くそうです。それまで巨大三尊がそろった姿は拝めませんが、今回はそれ以外の金剛寺の多くの貴重なものを観ることができました。また修理が落慶したら、観心寺と併せて是非再訪したいという思いが高まったのと同時に、それに向けてのいい予習ができたと思います。

[拝観日:2014年4月17日]

 

天野山 金剛寺

【住所】大阪府河内長野市天野996

【電話】0721-52-2046

【拝観】重要文化財特別公開:4/17・18の9:00~16:30/通常拝観時間:9:00~16:30

【拝観料】重要文化財特別公開(4/17・18):特別拝観料(入山料含) 大人800円・中学生400円・小学生200円/通常拝観料:〈伽藍拝観〉大人200円・中学生以下100円 〈宝物殿・庭園・北朝御座所拝観〉大人400円・中学生200円・小学生100円

【アクセス】南海高野線・近鉄長野線の河内長野駅から南海バス「光明池駅行」(1系統)・「槇尾中学校前行」(2系統)・「サイクルセンター行」(4系統)・「天野山行」(特4系統)で約20分、「天野山」バス停下車すぐ。

また、観心寺御開帳および金剛寺重要文化財特別公開当日の4/17・18は、観心寺→金剛寺→河内長野駅を結ぶ無料シャトルバスが約30分間隔で運行。

【公式サイト】http://amanosan-kongoji.jp/

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